理事長からのご挨拶
理事長からのご挨拶
一般社団法人日本透析医学会 理事長
友 雅司
(大分大学医学部附属臨床医工学センター 診療教授)
友 雅司
(大分大学医学部附属臨床医工学センター 診療教授)
この度,2024年6月6日に開催されました一般社団法人日本透析医学会理事会において,日本透析医学会理事長に選任いただきました.
日本透析医学会は1968年(昭和43年)に任意学術団体の人工透析研究会として発足,1985年(昭和60年)に日本透析療法学会と改称後,1993年(平成5年)には社団法人としての認可を受け日本透析医学会ととなり,2012年(平成24年)9月からは一般社団法人日本透析医学会として活動してきております.現在,日本透析医学会の学会員数は19,000名(個人会員,施設会員,賛助会員を含む)を超えており,学術集会・総会は参加者16000~20,000人超におよび,日本における透析医療にかかわる関係者が一堂に会する最も大きな学術集会として活発な議論が交わされております.
このような歴史と伝統のある学会の理事長に選任され,身に余る光栄と重大な責任を感じております.
本学会の目指すところは,学術的なエビデンスを蓄積し,良質なケアと治療を患者さんへ提供することにより,腎不全患者さん・透析患者さんのさらなる生命予後の向上,健康寿命の延伸を図ることであります.
「腎性貧血ガイドライン」・「CKD-MBDガイドライン」・「血液透析導入および処方のガイドライン」・「バスキュラーアクセスの造設修復に関するガイドライン」等の診療ガイドラインにおいて適正な診療指針を提示させていただき,高いレベルでの医療の標準化を維持することにより,透析患者さんの生命予後向上に貢献させていただいていると考えております.
また,血液浄化療法の基盤となる「血液浄化器の機能分類」も作成するとともに,その機能分類の改訂も適宜行ってまいりました.各種の血液浄化器の特徴を把握していただくことにより,患者さんの病態に応じた血液浄化器の選択が可能となり,合併症予防・症状を改善する血液浄化療法の選択・施行に役立てていただけているのではと思います.日本透析医学会で設定させていただいた透析用水・透析液の水質基準は世界でも最も厳格なものでありますが,この基準を達成・維持していただくことにより,本邦においては多くの施設で,世界トップクラスの透析液の清浄化が実現されております.このような血液浄化療法の基礎技術等に関する委員会報告等の提示・改訂等も,透析患者さんの生命予後向上・健康寿命延伸において重要であり,継続していく所存であります.
日本透析医学会会員のボランティア精神により集められた日本透析医学会の統計調査は、世界的にも類をみない貴重なものであり,日本透析医学会会員の宝でもあります.この統計調査データは,今後の本邦の透析療法の進んでいく道標として,大切にしていかなければなりません.統計データの収集においては会員の方々に多大な苦労をおかけしております.データ収集の方法においては,EDC(Electronic Data Capture)システムを導入・促進させていただくべく取り組んでいきます。ご協力のほどよろしくお願い申しあげます.
学会専門医に関しましては,日本専門医機構と密な連携を取りながら,日本透析医学会としての専門医制度の確立を目指していきます.
日本透析医学会では,バスキュラーアクセスに関する新たな治療デバイス等を用いた治療の安全を担保すべく,バスキュラーアクセス血管内治療認定医制度を創設させていただきました.今後も,本認定医制度の普及につとめるとともにバスキュラーアクセス治療の標準化と安全確保を図っていきたいと思います.
昨今,世界的に腎代替療法が我々の生活環境・自然環境に多くの負荷をかけていることが問題とされ「Green Dialysis」「Green Nephrology」というThemeが多くの会議・学会で論じられています.この「Green Dialysis」「Green Nephrology」というThemeは,透析医療に従事する医療者・透析医療に関連する産業人にとって非常に重要であるとともに厳しい一面を持つThemeであります.この「Green Dialysis」「Green Nephrology」というThemeにどのように対応していくかを学会内および関係団体とで議論・研究を行っていきたいと考えております.
最後になりましたが,日本腎臓学会,日本腹膜透析医学会,日本移植学会,日本臨床腎移植学会,日本透析医会等の関連学会・団体と協力して,より良い腎代替療法が提供できるように,そして腎代替療法を必要とする慢性腎臓病患者さんの生命予後向上・健康寿命延伸に寄与できるように,日本透析医学会として活動していく決意でありますので,会員の皆様のご協力のほど,何卒よろしくお願いいたします.
令和6年7月吉日