【重要】パキロビットパック(Paxlovid PACK)の特例承認について

令和4年2月14日

日本透析医学会 
会員 各位
 
一般社団法人日本透析医学会 
理事長 武本佳昭
総務委員長 中元秀友
感染対策委員長 竜崎崇和
 

 平素よりお世話になっております。
 パキロビットパック(Paxlovid PACK)の特例承認につきまして、重要な注意点がございますので、周知させて頂きます。

 11日未明に厚生労働省からプレス情報(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23815.html)に引き続き正式な通達(https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000895921.pdf)が出されました。
 効能効果に関しては“1. 臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。2 重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は確立していない”とのコメントが添付文書に付けられております。
 最新のガイドラインは厚生労働省から示されますが、日本感染症学会から“COVID-19に対する薬物治療の考え方 第13版”を10日付けで出しております(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_220210.pdf)ので処方される際のご参考にして頂ければと存じます。7ページ以下にPaxlovidに関する詳しい記述がございます。

 先にも連絡した通り、パキロビットパック(ニルマトレルビル錠/リトナビル錠併用)は、リトナビルでCYP3Aにおける薬物代謝を阻害して薬剤の血中濃度を保つ薬剤であるため、CYP3Aで代謝される薬剤の血中濃度をほとんどの場合で上昇させます。カルシウム拮抗剤・スタチンなどが代表ですが、精神安定剤など多くの薬が影響を受けます。このため添付文書でも細かな併用禁忌・注意が設定されております。また、中等度の腎機能低下(eGFR 30mL/min以上60mL/min未満)では用量調整が必要となり、重度の腎機能障害患者(eGFR 30mL/min未満)への投与は推奨しないとなっております。透析患者さんへの投与は推奨されないことをご承知おきください。
 こうした点に関する自治体への通達も10日に遡って発出されました(ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html 
通達:https://www.mhlw.go.jp/content/000896601.pdf)。

 適正使用につきまして、ご留意のほど、お願い申し上げます。